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FASS検定|導入事例

1: FASSを導入した背景と経緯は?

1: 他社でも活かせるような幅広い知識とスキルを習得するために

はじめに、弊社の財務・経理を担う人たちに対する人材育成の考え方を説明しておきたいと思います。

私どもは総合商社ですので、海外展開を担うことができ、多くのグループ会社を抱えていますので、連結経営管理においても中核になれるような人材を育てていかなければなりません。メーカーに出向することもあるでしょうし、モノの売り買いではない投資の世界に入るかもしれない。あるいは事業会社そのものを経営するかもしれない。伊藤忠商事で学んだことを他の企業でも活かすためには、幅広い知識とスキルが必要になります。

基本的な教育方針はOJTですけれども、それだけでは、経験や知識にばらつきと不足感が出てきます。そうした観点から、OJTを補完し、より効果的な社員教育を行うための一つの手段としてFASSの試験を導入しました。

2: FASSの導入対象(受験対象)とその狙いや教育体系の位置づけは?

2: 対象は入社二年目から十三年目

現時点では、入社二年目から十三年目までを受験対象にしています。これは、私自身がFASSの運営委員会の一員として、試験問題の検討に加わらせていただいた経験から、基礎的な知識を扱っていると判断したのが理由です。また、若い人たちへの刺激という面もあります。OJTでカバーしきれない範囲は、自分自身で能動的に勉強してもらわなければなりません。

しかし、ただ単に「勉強しろ」と言うだけでは、おそらく成果があがらないでしょう。FASSを受験することによって、自分はどんな知識を身につけていて、どんな知識が不足しているのかが客観的に評価されます。現時点での実力を知り、次のステップに進んでいくための刺激になってくれるのではないかと期待しています。

3: 対象ごとに要求するFASSのレベルは?(昇格条件など処遇とのリンクもあれば)

3: 目標レベル到達まで受験。結果は本人と上司にフィードバック

最終的な決定はまだですけれど、入社十年目くらいまでの人を対象として、Aランクを取るまで受験させる、もしくはBランクを取るまで受験させる、その二つの選択肢を考えています。そのレベルに成績が到達しなかった人は、二回三回と受験してもらうというのが基本的な方針になっていくと思います。

人事評価については、今の段階ではEランクだから悪いとか、Dランクならまだいいとか、そういう形での評価はしていません。Aランクを取れば、何でもできるような印象を持ってしまいますけれど、そう簡単にはいかないケースもあるだろうと思います。

試験の結果は、本人はもちろん、上司にもフィードバックしていますので、結果を受けて、今後の教育方針、教育方法やローテーション等に関して上司のアプローチも様々に出てくるはずです。この点については、もう少し時間をかけて見ていかなければいけないと考えています。

4: 今後の教育上の課題は?

4: 人材育成・ローテーションの材料に

社内の評価と成績が合致している人もいる一方で、社内での日常の仕事ぶりを評価されている人が、いざ試験を受けてみると、成績が思ったより良くないことがあります。逆に、年齢も若いし、経験も少ないので苦戦するのではないかと思われていた人が、試験の点数は非常に高いこともあります。そうすると、我々の教育のあり方や評価のあり方を考え直さなければならない可能性もあります。それを考える上では、やはり外側からの評価、統一的な基準での評価が必要になります。FASSというのは、そうしたことを総合的に考える一つの材料になっていくと思います。

これは社内でよく話すのですが、会計についてベースの考え方は同じでも、伊藤忠商事の中の処理方法が、他の会社でも全く同じ処理方法だとは限りません。そもそも会計の考え方には処理方法を選択できるようなケースも多々あります。原価計算を行っているメーカーとそうではない商社とは異なります。また、投資会社や金融会社でも表示方法や処理方法が違っていると思います。それらの違いは違いとして認識した上で、標準的なものをしっかりと身につける努力が必要です。そうした標準的な知識に対して、教育の機会を与えていくことは、非常に重要なことだと考えています。

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