内需低迷によるグローバル化、需要や為替の急変動、商品ライフサイクルの短期化など、いま企業では客観的なデータに基づいた迅速な意思決定が求められている。海外も含めたグループ経営情報の一元管理を目指したERPの本格導入など、会計・財務分野のみならず、情報システムの構築による経営基盤の強化領域は広がっています。
IT技術の劇的な進化によって、ITはよりユーザーにとって身近で簡単に使えるようになっています。
IT部門に求められるのは、「いかにITシステムを作るか」ではなく「いかにITシステムを利用するか」という考え方へと変化しています。
企業の経営管理・会計財務を担うCFO(最高財務責任者)を対象としたアンケート調査でも、ITへの責任が従来の「作る側」であるIT部門から「使う側」である、会計財務というユーザー部門にシフトしていることがわかります。
「作る」から「使う」への変化は利用するシステムの形態にも変化を与えています。いま、会計をはじめとした企業の経営管理システムは、「ERP」や「パッケージソフト」など「作らなくてもいい」システムが8割を占めると言われています。
システム導入の意思決定にあたって、ユーザー部門である会計財務もしくは経営管理部門が関与する傾向は非常に強く、ユーザー部門の代表であるCFO(最高財務責任者)が主導するケースが大半であることがわかっています。
単なる会計システムであれば、「簿記」の知識で十分でありましたが、いま企業のITシステムの現場に求められているのは、単なる会計システムではありません。購買・販売など企業の幅広い業務プロセス全体をマネジメントするための、総合的な経営管理情報システムです。
これまでのような、「作る側」としてのIT知識だけではなく、業務プロセスや業務知識の理解が、これからのIT・情報システム部門には求められているのです。
次世代の企業の経営管理の強化を目的に経済産業省の支援を受けて開発されたFASS検定は、企業の経理部長・財務部長約60人が集まって2004年に開発されました。まさに、経営情報管理ステムのユーザーが必要とする標準的な業務知識の習得度を測るための検定試験であり、企業の経理・財務部門の方の業務知識の習得度を測るスタンダードとなっていますが、IT・情報システム部門の方にとってこそ、今後の活動の幅を広げる強力な武器となるでしょう。
情報システムの開発にはもちろんのこと、企業の現場との調整をする方、それ以上に、現場へシステムの販売を行うシステム営業の皆さんには、FASS検定による業務知識の証明は、更なる仕事の広がりに大きなプラスとなることは間違いありません。
(注)グラフは、日本CFO協会が上場企業のCFOを対象に実施したアンケート調査「財務マネジメント・サーベイ」(2009年7月実施)の結果からご紹介しています。
情報誌「CFOFORUM」のアーカイブから関連する記事をご紹介しています。
財務マネジメント・サーベイ
» 「CFOから見たIT・情報システムの現状と課題」(2009年9月)
» 「CFOから見たIT・情報システムの現状と課題」(2007年12月)
テクノロジー・ウォッチ
» 震災後の危機に対処するためのIT(2011年6月)
» クラウドはビジネスを変えるのか(2011年3月)
» ビジネスネットワークを強化する新世代のユニファイド・コミュニケーション(2010年12月)
» グローバル連結経営を実現する鍵 (2010年6月)
» 制度対応からの脱却: 形骸化しない内部統制のポイント~制度対応の効率化に向けて~(2010年3月)
» グローバルキャッシュ マネジメントシステムの現実解 キャッシュマネジメントシステム(CMS)の現状(2009年12月)
» 国際財務報告基準時代のグループ統合システム整備(2009年9月)
FASSに関する情報